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2005年4月16日

●目が覚めた その4

会社の寮であるアパートに引越しをした。一姫二太郎の二人の子供を授かり、今の部屋では狭かろうという事で再度会社の別なアパートへ引越しをした。其処で当分過ごすのだろうと考えていた時に住宅供給公社の分譲住宅の公募を知った。外れて当然と言う気持ちで申し込みをしたが、43倍の競争率を勝ち取り見事当選した。彼は引越しをする事になり、ここで等々力・川崎・川崎・中野島と4回累計15回の引越しに至った。延々と引越しの回数について触れたが、実はこの回数の多さが彼の中に一つの世界を創り上げてしまった原因があるようだ。

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コメント

彼は無意識の内に自分は一箇所に定住する事が出来ない人種だとそう思い始めていたのである。其の時彼は33歳であった。引越しを重ねる度に今まで住んでいた地域や馴染んだ住まいを離れ又新しい環境へと移り住んで行く。それは生きていく上で必要な事であるならば誰もが経験する事でありむしろ当然の事であった。新しい事に出会える楽しさより、別れというものに誰しもが感じるように、彼も別れなければならない諸物に対する寂しさというものを何時も心の奥底で感じていたのである。

生を受けて33年間で15回の引越し、高校を卒業してから33歳に至る迄の15年間に限れば11回も引越しをしており約1年半の間に1回の割合で引越しをしたことになる。そのような経験から別れの哀しみというものが有りながらも、その哀しみから脱却し早く新しい環境に馴染まなければならないとい考えが彼の中にいつのまにか出来上がってしまったのである。それは寂しさや哀しみから逃れる為には過去を忘れる事であり、過去を全て夢の中の事だと思えば間違いなく楽になれると彼の中で徐々に考え方が変化をしたようである。

事実彼が正月やお盆に帰省したとしても彼はそれを現実のものとして受け止めていなかったようである。久しぶりに出会う親兄弟の顔を思い浮かべ色々と話したい事を電車の中で考えるのだが、実家に着いて懐かしい親兄弟の顔を見ると直に満足をしてしまい、話したい事の半分も相手に伝える事が出来ない。それは誰にでもあることであり彼に限った事では無くごく一般的な感性の持ち主なら自分の事だけを一方的に話す事は出来ないと感じるのはむしろ当然の事であった。彼も親兄弟と会い、酒を飲み久しぶりに会えた事を喜びその時を楽しく過ごす。

だが時間が経過するに付け楽しい時間がどんどんと過去になってしまう事に彼は寂しさと不安を感じ始める。今という時間が楽しかった事や時間を無情にも次々と過去へ過去へと押し流していくのである。そしてやがてその楽しさが非日常的な時間と空間に依存している事に彼は気が付く。帰省して楽しい時間があっという間に過ぎてしまいついに帰りの朝を迎える。もはや今日は普段の生活に戻るべく非日常の世界から脱しなければならない時と変化する。楽しかった時間に何時までも浸ってはいられない。気持ちを入れ変えなければならない時となる。

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