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2005年4月16日

●目が覚めた その6

彼は何気なく窓の外へまた目をやった。西の空はいつの間にか遠くに見える丘の上に雲が漂い沈み行く夕陽に真っ赤に染められ手板。雲は夕陽が沈むにつれ益々色濃くなり赤いマフラーのように丘を包み込んだ。夕陽は雲の中に隠れながらも徐々にその真っ赤に燃える輪郭を現しやがてまん丸から半円に、半円から弓形に、そしてその弓形が更に小さく小さくなりながらやがてパーッと炎が燃えたように一瞬辺りを明るく染めやがて全てが暗闇となった。未来という明日を迎える為に辿らなければならない長い道程であった。

コメントに続く

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コメント

目を覚ました。覚め切らぬ目で辺りを伺うと真っ白いベッドの上に仰向けになって寝ていた。左手に点滴、口と鼻には酸素マスク、そして道尿の管が足の上を這っているのが判った。「あ~やっぱり」と彼は諦め顔で納得をした。彼が口にした「未来」は実は彼が町の中を歩いている時見慣れぬ店で見つけた「秘薬」であったはずだ。仕事が終わっていつものように駅まで歩いて帰る途中に新装開店の不思議な店を見つけたのであった。その店は新装開店の割には誰一人としてお客は見当たらず、無機質な灰色の棚が並んでいるだけの殺風景な店であった。

興味半分でその店を覗いた彼は、店のカウンターの中に立派な髭を生やした老人が立っているのを見つけ恐る恐る尋ねた。「この店は何を扱っている店ですか」するとその老人は「お客様が欲しがっている物を売っています」と答えたのである。お客様が欲しがるものを売っていると聞いて辺りを見渡すがどうも普通の店とは勝手が違う。コンビニエンスとも違うしスーパーとも違うようだ。店に陳列をしてあるのは3段に仕切られた棚が店の入り口から奥に向かって5列並びその各棚に大きさ10cm位の白いビンに錠剤がつめられているものばかりである。

「お客が欲しがる物?」と尋ねると、「そうです。2列目の2段目に「未来」と書いてあるビンがありますが、お客さん今貴方の欲しがっている物ですよ」と、いかにも判ったような事を言う。しかし興味があったので話しを聴いてみたところ、この店はその人が望む事が叶えられる「薬」を売っている店だと言う。お客さんが何も言わなくてもその老人には全て判るというのであった。馬鹿馬鹿しいと思いながら聞いていたが、彼はふと思い当たる節があった。最近今の生活がつまらない。何か未来に面白い事がないだろうかと考えていたところであった。

彼は更に興味を持ち「それでどうすればいいの?」と尋ねた。その老人は「飲んでみれば判るよ」と笑いながら話した。飲んでみれば判る確かに的を得た説明ではあったが、胡散臭い気もした。しかし少しくらい冒険をするのも面白そうだと思った彼は老人に値段を聞いた。「今払える金でいい」と言う。彼の所持金は給料前であったので財布の中には1万円ちょっとしかなかった。1万円全部払うわけにはいかなかったので5千円でいいかと尋ねたら「先程も言ったように今払える金でいい」と繰り返して言う。彼は5千円を払ってその店を後にしたのであった。

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